日産自動車、トヨタ自動車に続き、ホンダが、高速道路での追越しや先行車への追随などの機能を市販車に搭載する方針を決めたとの報道がなされました。海外においては、米ゼネラル・モーターズが、高速道路での自動運転機能を搭載した車両の発売を予定しており、米グーグルは、ハンドルやブレーキのない自動運転車を開発しているようです。
このように、自動運転車の開発は世界的な潮流であり、そう遠くない将来、自動運転車が公道を実際に走行するものと思われます。
しかしながら、自動運転車に対応した法令は、現在のところ整備されておりません。
例えば、自動車の運転方法については道路交通法が規定しておりますが、人間が運転することが前提とされており、機械が自動運転することは想定されていません。そのため、機械による完全な自動運転を許容するのであれば、道交法を改正する必要があります。
また、自動運転車には、事故の減少という効果が期待されておりますが、事故が完全に無くなることはないでしょう。自動運転車による事故が発生した場合、賠償責任を負うのが、自動運転車に情報を入力した人間なのか、自動車メーカーなのか、あるいはその双方なのかという点も、法令上明らかではありません。
このように、法令が未整備であることに鑑み、警察庁は、平成27年10月15日、庁内に有識者を交えた検討委員会を設置すると発表しました。委員会には、刑法や行政法、工学などの専門家が参加し、法令上の課題や事故時の責任問題などが検討されるようです。
自動運転車に関する法令の整備に関しては、引続き、その動向を注視したいと思います。
弁護士 平岡 広輔